福山ブルガリア協会ニュース


第17回日本語弁論大会優勝者が決定───ソフィア
16.apr.2011


 第17回日本語弁論大会(在ブルガリア日本大使館主催)が2011年4月16日ソフィアで開催され、中級の部優勝はソフィア大学生のマリア・バウレンスカさんに決まりました。。マリアさんは5月の「'11福山ばら祭」に、カザンラクの'10年バラの女王のミレナ・ジェリャスコヴァさんとともに福山ブルガリア協会に招待され、来福します。

講演をするトドロフ大使
第17回日本語弁論大会の入賞者


表彰を受けるマリア・バウレンスカさん



中級の部優勝のマリアさん

マリア・バウレンスカさんのプロフィール

マリア・リュボミロヴァ・バウレンスカ     
Мария Любомирова Бауренска
1990年4月18日生
ソフィア大学在学中


マリアさんのスピーチ「ドブリおじいさん」

 2年前の夏、家の近くにある教会の前で「お母さんはいるの?」と聞かれました。白くて長い髪と髭のおじいさんでした。その日は暑かったのに、彼はウールのコートを着ていました。何となく、そのおじいさんは過去に存在しているかのようでした。手には小銭が少し入ったコップを持っていました。もう一度、「お母さんはいるの?」と聞きました。私はびっくりして「ええ、います。」と答えると、そのおじいさんは笑顔で、「天にも一人のお母さんがいるよ。」と言いながら小さな聖母のイコンをくれました。
 友達から聞いた話では、このおじいさんの家はソフィアの郊外にあり、毎日電車に乗って教会まで来て、募金を集めたり人々と話をしたりしているそうです。
 皆さん、アレクサンドル・ネフスキ大聖堂を御存じですか。このドブリおじいさんはこれまでにこの大聖堂に3万7千レバの寄付をしているそうです。
 現在の社会はグローバル化が進み、生活のスピードも速くなっています。人々は仕事や用事などで忙しいため、いつも走り回っていて、自分の問題だけに夢中になりがちです。このような現代にドブリおじいさんは生きています。彼は、家族や家の用事を後回しにし、知らない人にやさしく話しかけたり、笑顔でイコンと希望を配り、全ての人に敬意を払いながら礼儀正しい態度で募金を募っています。
 この人に出会って、いつも何かを求め、どこかへ走っている私もいろいろ考えさせられました。「我々はどうしていつも急いでいますか。」「どこへ行きますか。」
 私は、以前、勉強や仕事で成功することが最も大切なことだと思っていましたし、仕事をしないで幸せに暮らすことは全く想像ができませんでした。また、知らない人を信じるべきではないと思っていました。しかし、人が幸せになるためにはそれだけでは十分ではないということがわかりました。他人を愛することと他人を信じることの大切さに気付かされました。我々は自分の家族や友達は愛せますが、知らない人の気持ちまでわかる人はあまりいません。しかし、ドブリおじいさんにはそれができます。ですから私は、私たちもきっと、自分のことばかりを考えるのではなく、他人を思いやり信じることができるはずだと思いました。
 もしそれができれば世界中が愛に溢れ、小さなことで悩むこともなくなりますし、みんな心穏やかに暮らすことができると私は思います。
 ご清聴ありがとうございました。